11月13日
何かが少し足りない気がして不満に思っていても、実際のところそんなものなのかもしれない。そう諦めてきたことが多かった。
8月24日
夜、お酒を飲んで街のあかりなんかを見ていると、今まで無意識に張りつめていたものが一気に抜け出していくように感じる。女ひとりで異国に居るのは、どうしたって少なからず緊張するものだ。それに、知らない街はこんなにも心細い。今まで押し込んできた弱気がふと溶け出してきて、逆にまた孤独感が冷やりと手に落ちてくる。必ずもっとお酒を飲もうかな、という気分になって―普段より少し大人びて見える服を着て、ひとりで飲みに行ってしまおうかと迷う。そんな時は大体、飲んでも帰ってもどうせさびしいものなのだけど。
7月15日
この曲を聴くと迫ってくるようによみがえってくる、ロンドンの雲、暗い朝、家の隣のスーパー、の店員のおじちゃん、いつも買ってたサラダ、借りてた部屋、に置いていた間接照明、香水、バッグ、コート、通り、電車、全部恋しい。自分の過去の生活って、わざわざ思い出すと恋しいものだ。
6月15日
早起きの自転車おばあちゃん。立ち止まって帽子をかぶりなおすおばあちゃんを隣で待つおじいちゃん。ローソンで唐揚げを大量に買い込むサングラスのギャルママ。お店のシャッターを勢いよく上げる精肉屋のおばちゃん。
みんなそれぞれ「おばちゃん」だの「ギャルママ」だのと道を歩くスッピンの学生に思われているとは考えもしないのだろうけど、平日朝の商店街は良い。
6月9日
ひどいことをしてしまったことを全部思い出す。それでも、そのひとが幸せそうにしているところばかりを想像している私は、ひどいしめでたい。世界がめでたいことだけになったらいい。