6月8日

恋人ができると、ひとりでいる時間が、ひとりでいるなあという気分でいっぱいになって、少しつまらなく思えてくる。恋人も何も、一緒にいてくれるかどうかも分からなかったときや、大抵ひとりで夜を過ごしていたときにはたくさん持っていたお気に入りの時間や習慣も、いつの間にかわからなくなっていって―どうしたらいいかわからないときにはいつも聴いていたこの曲を聴いても、そのときの暮らしを思い出すばかりで。ひとりでいたときには、それがお気に入りだということを自分に言い聞かせているような気分だったし、すきなことをしてすきな時間を過ごすときは、いつもさびしさが一緒のような気がしていたけれど―さびしさといつも同時に迫ってきた夏の風景や匂い、なぜだか分からない焦りや妙に凛々しい朝の空気―好きな香水をつけるだけで誰かが自分に気がついてくれるような気がしていた。それでも、誰かと飲むアイスコーヒーは、ひとりで飲むアイスコーヒーよりも美味しくて(彼はホットコーヒーしか飲まなくても)日曜日が好きになった。しあわせは、どんどん私を鈍感にしていくけれど、いずれにしてもさびしいんだから。それでもやっぱり友達はいつもそばにいてくれて、今年も雨の季節がはじまった。